FIRE後の医療費はいくら?FIREの隠れたリスク「医療費」とどう向き合うか?
投稿日:カテゴリ:FIRE
この記事のポイント
FIRE計画で最も予測が難しいのが、将来の「医療費」です。「もし大きな病気になったら、資産が足りなくなるのでは」という不安が、早期退職への決断をためらわせていませんか。この記事では、日本の公的な医療保険制度を最大限に活用する方法と、それでも足りない場合に備えるための具体的な対策を解説します。これを読めば、医療費という不確実なリスクに対する備えが明確になり、より安心してFIRE計画を進められるようになります。
「もし大きな病気になったら…」FIRE計画を揺るがす医療費の不安
FIRE計画における最大の不確実要素、それが将来の医療費です。毎月の生活費は計算できても、「もし、がんになったら」「もし、親の介護が必要になったら」「もし、自分が要介護状態になったら」といった、予測不能な支出に対する不安は尽きません。
会社を辞めれば、これまで手厚かった会社の健康保険も失います。その後の公的保険の仕組みや、自己負担額の上限について正しく理解していないと、漠然とした不安はどんどん大きくなります。
たった一度の大きな病気や怪我で、何年もかけて築き上げてきた資産が、一瞬にして底をついてしまうかもしれない。この恐怖が、FIREという大きな決断を前にした私たちの心に、重くのしかかっているのです。
FIRE後の公的医療保険はどうなる?
FIRE後の医療費を考える上で、まず基本となるのが、退職後に加入する「公的医療保険」です。会社を辞めると、会社の健康保険は使えなくなりますが、日本では国民皆保険制度により、必ずいずれかの公的保険に加入します。主な選択肢は3つです。①会社の健康保険を任意継続する(最長2年)、②お住まいの市区町村の国民健康保険に加入する、③配偶者などの扶養に入る。
多くの早期退職者は、①か②を選ぶことになります。保険料は、退職前の収入によって決まるため、退職直後は高額になることが多いですが、収入がなくなれば翌年以降は下がります。
重要なのは、退職しても、必ず公的な医療保険によって、医療費の自己負担は原則3割に抑えられるという点です。
自己負担を軽減する「高額療養費制度」
日本の公的医療保険には、「高額療養費制度」という、非常に強力なセーフティネットがあります。これは、1ヶ月の医療費の自己負担額に、所得に応じた上限を設ける制度です。例えば、70歳未満の一般的な所得の方であれば、1ヶ月に支払う医療費の上限は、おおよそ9万円程度です。
仮に、大きな手術で医療費が100万円かかったとしても(自己負担3割で30万円)、実際に窓口で支払うのは約9万円で済み、差額は後から払い戻されます。
この制度があるため、日本においては、「たった一度の病気で資産が全てなくなる」というリスクは、極めて低いと言えます。
FIRE後の医療費への不安を和らげる、最も基本となる知識ですので、必ず覚えておきましょう。
対策①:民間の医療保険で備える
公的保険制度で、医療費の自己負担は大きく抑えられますが、それでもカバーされない費用は存在します。例えば、入院時の個室代や、一部の先進医療、そして通院の交通費などです。こうした支出に備えるための一つの方法が、民間の医療保険への加入です。医療保険に加入していれば、「入院1日あたり1万円」のように、治療内容に応じて定額の給付金を受け取れます。
特に、治療が長期化しがちな、がんに特化した「がん保険」は、診断時にまとまった一時金を受け取れるタイプが多く、安心材料となります。
毎月の保険料という固定費は発生しますが、予測不能な高額出費のリスクを、計画的な定額の支払いに変えることができるのが、民間保険の役割です。
対策②:医療・介護用の資金を別枠で確保する
民間保険に加入する代わりに、あるいは加入と並行して、医療や介護のためだけの特別な貯蓄を用意しておくのも、有効な対策です。FIREの生活費を賄うための投資資産とは別に、例えば200〜500万円程度の資金を「医療・介護用緊急資金」として、安全な預金口座などに確保しておきます。
そして、「この資金は、公的保険を使ってもなお、高額な支払いが必要になった時にしか使わない」というルールを設けます。
この別枠の資金があることで、万が一の事態が発生しても、あなたのFIRE計画の核となる投資資産に手を付けることなく、対応できるようになります。
これは、将来の不確実性に対する、非常に強力な備えとなります。
結論:公的制度と自己対策の組み合わせで備える
FIRE計画における医療費の不安は、一つの対策で全てを解決しようとするのではなく、複数の防衛策を組み合わせることで解消します。第一の土台は、日本の公的医療保険制度です。「高額療養費制度」を正しく理解すれば、一度の病気で破産するリスクは極めて低いことが分かります。
第二の層として、公的保険の範囲外に備えるための自助努力を行います。具体的には、「民間の医療保険」で定額の保障を確保するか、「医療用の別枠貯金」でまとまった資金を用意します。
そして最も重要なのが、健康的な生活を送り、病気になるリスク自体を低減させることです。
この「公的保険」「自己対策」「健康維持」という3つの層で備えることで、医療費というコントロール不能なリスクを、対応可能なものに変えていくことができるのです。
行動へのステップ
1.ご自身が退職した場合、どの公的医療保険(任意継続、国民健康保険など)に加入することになるかを確認しましょう。
2.お住まいの自治体のウェブサイトで、「高額療養費制度」について調べ、ご自身の所得区分での自己負担上限額を確認してみましょう。
3.現在加入している民間の医療保険があれば、その保障内容がFIRE後の生活においても十分かを再評価してみましょう。
4.あなたのFIRE計画の中に、「医療・介護用緊急資金」として、生活費とは別にいくら確保しておくべきか目標額を設定しましょう。
5.退職後の国民健康保険料の概算や、民間保険料を、FIRE後の年間支出計画に忘れずに盛り込みましょう。

















